2007年8月13日月曜日

高校教師郡部「嫌だ」 同一校に15年以上260人も 道教委苦慮

同一の道立高で15年以上勤務する教員が今年4月時点で260人に達し、道教委が来年春まで3カ年で取り組んでいる長年勤務者解消計画の達成が困難な状況になっている。対象者の大半を占める札幌など都市部に住む教員が、郡部への異動を渋るケースが多いためだ。道教委は、人事停滞は弊害が多いとする一方、強制的な異動には慎重なこともあり、問題は簡単には解決しそうにない。  道教委によると、同一高校勤務が十五年以上に及んでいたのは、解消計画を策定した二○○五年八月時点で、道内の高校教員と養護教諭ら計約九千人のうち三百六人。三カ年計画が終わる○八年四月までに十五年になる教員を合わせると五百六十四人に達した。道教委は○六、○七年度の人事で解消を図ったが、半数近くは手付かずで、○八年度人事でも完全な解消は難しい見通しだ。  人事滞留の理由について、道教委は「多くは教員本人が郡部への異動を嫌うため」と説明する。「持ち家を離れたくない」との理由もあるという。一方、札幌市内の道立高に勤務して十五年近くになる男性教員は「進学希望の生徒のために長年、教科指導法を研究してきた。その力をまだ役立てたい」と話し、個人的理由ばかりでないと強調する。  道立高人事異動実施要領は、一校の勤務年数が都市部で十年、郡部では六年を超えれば異動対象としている。  一方、郡部への転勤を命じられた教員が発令取り消しを求めた訴訟に対する一九五五年の釧路地裁判決は、任命権者の裁量を認めて原告の訴えを退けつつ、家庭の事情などを考慮しない転勤命令は場合によって人事権の乱用に当たるとした。また、地方教育行政法は、学校長による任命権者への意見具申を認めており、人事には現場の意向が尊重される。  こうしたことから、「本人の納得なしに強制的に異動させることは難しい」(道教委教職員課)のが実情で、道教委は対象教員を説得してもらうよう校長への働きかけを強める考えだ。  転勤が実現しない教員を抱える道北の道立高教頭は「人事の停滞によって現場の士気は落ちている」と話している。 (北海道新聞 引用)

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