2007年9月14日金曜日
石屋製菓不祥事発覚1カ月 体制見直し急ぐ 再開時期は流動的 「パーク」準備に時間
人気商品「白い恋人」の賞味期限改ざんなど、石屋製菓(札幌)の不祥事が発覚してから十四日で一カ月。社内では生産ラインの点検や組織見直しなど、操業再開に向けた準備作業が急ピッチで進められている。ただ、再開時期については意見が割れており、北海道土産の「横綱」が店頭に戻る日は依然流動的だ。(佐藤宏光、加藤木あずさ) 「マチのお菓子屋さんから(きちんとした)株式会社へ」(島田俊平社長)の脱皮を目指す同社。体制見直しを主導しているのはコンサルタント会社や森永製菓など「食品のプロ」だ。 「社員食堂を閉鎖するなんて、食品メーカーとしてとんでもない」。生産ラインの視察に訪れた森永製菓の担当者の言葉に島田社長は驚いた。 食堂は昨冬調理担当者が辞めてから閉鎖され、社員は昼食を持参するようになった。指摘を受けたのは、仮に社員から病原性大腸菌O157などの感染者が出た場合、昼食持参だと感染源の特定が困難になり対応が遅れるからだ。島田社長は食堂復活を即断した。 ほかにも《1》工場の作業服を従業員が持ち帰って洗濯していた《2》水道の蛇口が低く指先が触れる恐れがある《3》原料搬入と製品搬出のルートが一部で交差していた-など指摘は多岐にわたり、同社は対応を急いでいる。 十日午前、本社会議室に主任以上の社員二十二人が集められた。現状を報告した島田社長が意見を求めると、製造現場担当の男性社員が手を挙げた。「職場でまとめた意見書を提出してもいいでしょうか」 トップに現場の情報が伝わらない風通しの悪さが不祥事の一因とされたのを受け、毎週開くようになった社内連絡会。島田社長は「社員の声に経営側がちゃんと反応すれば社員からもっと声が上がる」と力を込める。 同社は操業停止後も全員出社を貫く。清掃やクレーム対応、取引先への謝罪に加え、食の安全に関する講習会にも積極的に参加させている。今後は道内の食品工場視察も実施、意識改革を徹底する構えだ。 同社は二十五日に道、札幌市に改善計画を提出。その後、試験操業をへて操業再開時期を判断する。大腸菌群や黄色ブドウ球菌が見つかったアイスクリーム、バウムクーヘンは当面生産を見送り、「白い恋人」と「美冬」の再開を優先させる方針だ。 意見が割れているのは年間五十万人が訪れる観光施設「白い恋人パーク」の扱い。「白い恋人」だけなら操業再開は十月下旬から十一月上旬の見通しだが、パークを同時再開する場合、十一月下旬から十二月にずれ込む可能性がある。目玉のケーキバイキング向けの洋生菓子の生産体制確立に時間がかかるためだ。 土産物としての商品だけに、操業再開時のイメージ回復は重要課題。島田社長は「早く操業再開したいという気持ちと、焦ったらだめだという気持ちの中で悩んでいる」と打ち明ける。 (北海道新聞 引用)
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