2007年6月14日木曜日

道内エイズ最多の28人 昨年、危険性軽視の傾向

 厚生労働省と道によると、二○○六年に道内で新たに報告されたエイズウイルス(HIV)感染者とエイズ患者の合計は二十八人に上り、過去最多だった前年を七人上回った。全国も千三百五十八人で最多を更新。関係者は、上滑りの知識でエイズを軽く見ているのではと危機感を募らせる。
 検査体制の整備に伴い近年、増加傾向にあるが、エイズ動向委の岩本愛吉委員長は「啓発に努めている中で過去最多を更新し続けており、感染そのものが増えている」と推測する。
 ○六年の全国の感染者は九百五十二人、患者は四百六人でいずれも最多。年代別では三十代が最も多く五百三十九人。二十代二百九十五人、四十代二百六十七人と続く。道内は感染者が十七人、患者が十一人。感染者と患者の合計は○一年(六人)の約五倍にも。男性が二十六人、女性二人、市町村別では札幌が二十一人。年齢別でみると、三十代が十九人で約七割、続いて四十代四人、二十代三人だった。
 北大病院HIV感染症対策委員長の小池隆夫教授は「クラミジアなど他の性感染症が若い人たちに広がっている実態を踏まえると、若い世代のHIV感染者がまだ表に出ていないようだ。この世代が受けやすい検査体制を早急に整えるべきだ」と指摘。「エイズ発症を抑える薬が開発され関心が非常に低くなり、コンドームを利用するという予防が浸透していない。この状況が続くと大変なことになる」と話す。啓発市民団体のシフト(東京)も「エイズの苦しみ、発症の恐怖をリアリティーを持って受け止める人が少ないのでは」と危惧(きぐ)する。

(北海道新聞より引用)

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