2007年12月24日月曜日

老いも若きも情熱あふれる厩務員168人

<連載・ばんえい支えるマンパワー(3)>
 ばんえい競馬では現在、168人の厩務員が従事している。その中で「働くおじいちゃん」として慕われているのが、76歳の定塚俊男厩務員だ。騎手と調教師を経て65歳で1度退職した後に、67歳から定年制のない厩務員となって競馬場に戻った。キャリアを生かして、ばんえいを支える。
 昨年12月の廃止危機を乗り越え、今年から運営形態を変えスタートしたばんえいを、定塚厩務員は競走馬に重ね合わせる。「レースなどで息の入れ方が分からない馬は駄目。いったんバイキ(バック)して呼吸を整え、走りだしたばんえいは強いよ。(ばんえい競馬も)もう大丈夫さ」。
 1959年(昭和34)に騎手になり、その後調教師になった。19年間の調教師生活では通算468勝を挙げた。1度は競馬場を離れ妻昭子さん(79)と芦別の自宅で過ごしていたが、2年後に、旧知の調教師から頼まれ復帰した。「うちでじっとしてるのは性に合わなくてね」。今でも午前2時に起床し、担当馬3頭の調教をつける。「途中でやめたり弱音を吐くことが大嫌い。こうなったら死ぬまで馬をさわっていくよ」と、ばんばとの生活を生きがいにしている。
 今年は、10代の厩務員も加わった。服部厩舎には今春、19歳の新人2人が加わった。長沢幸太厩務員は中学時代から抱いていた「NO・1ジョッキーになりたい」との夢を追う。女性の伊東沙也佳厩務員は、現役馬ではなく「帯広市職員」リッキーの世話係から始まった。「今は1人で馬に乗れるんです。仕事がとても楽しい」。売り上げ好調だった90年代前半、ばんえいには約220人の厩務員がいた。人数こそ減ったが、競馬を支える情熱は薄れていない。

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